思ったことを直接伝える重要性

日本人は、昔から本音と建前を使い分ける文化が浸透しています。多くの人が、面と向かって思った事を相手に伝えることを苦手としています。こうした奥ゆかしい文化は、円満な人間関係を築く上で必要とされがちです。

しかしながら、これは表面だけの付き合いのみに言えることです。介護の仕事は人と人の関わり合いが主な業務であるため、きちんと意思疎通ができなければ、良好な信頼関係は築けません。

そんな介護の職場でよくある悩みが、思っている事を口に出せずにストレスが溜まってしまうこと。

例として、同僚や利用者さんに改善してもらいたいことがあるものの、それを伝えるのに躊躇するといった場合があります。もし気になる点を相手に指摘すると、嫌われてしまうのではないかという懸念が脳裏に浮かぶものです。

実際、そのような配慮はかえって人間関係の不和を生み出してしまうのです。思っている本心は直接相手に伝えた方が、上手くいく場合はあります。もし相手に伝わらなかったとしても、それは相手の価値観の問題です。もし、相手が納得せず不愉快な顔をしても、「自分が思ったことを伝えただけ」と割り切り、気に病む必要はありません。

ただし、本心を伝える際の言葉遣いには十分気をつけましょう。相手をコントロールするような言い方をすれば、ほとんどの人から嫌がられます。

相手としても、率直に意見してくれる存在はありがたいもの。問題となるポイントを指摘してもらえれば、気をつけるべき点がよく見えてくるものです。重要な点を知らないままでいるよりは、指摘してもらった方がいいはずです。

もし、介護の現場でスタッフ同士が互いに本心で言い合える仲になれたなら、互いに信頼感が生まれます。このように、相手を不快な気分にさせてしまう事を心配するより、相手のためになるということを自覚して、思い切って本当の事を伝えることが大切です。本当の気持ちでやりとりをすることは、相手にとっても自分にとってもプラスになります。